話数単位で選ぶ、2024年TVアニメ10選
aninadoさんのこの企画に参加するのは初めてなのですが、毎年時期を逃していたので今年こそは!ということで2024年でこれはという話数を10話選びました。
本記事はaninadoさんの「話数単位で選ぶ、2024年TVアニメ10選」参加記事です。下記のルールに準拠しています。
■「話数単位で選ぶ、2024年TVアニメ10選」ルール
・2024年1月1日~12月31日までに放送されたTVアニメ(再放送を除く)から選定。
・1作品につき上限1話。
・順位は付けない。
- ネガポジアングラー 12話「ネガポジアングラー」
- となりの妖怪さん 第11話
- 怪異と乙女と神隠し 第12怪「切符と動画と神隠し」
- 菜なれ花なれ 第7話「ハイカラ×バンカラ!」
- 変人のサラダボウル 第7話「異世界人の戸籍問題他」
- 最強タンクの迷宮攻略〜体力9999のレアスキル持ちタンク、勇者パーティーを追放される〜 第12話「魔の力」
- HIGHSPEED Étoile #10「最速のその先へ」
- 真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました 2nd 第4話「元勇者と暗殺者の日常」
- 治癒魔法の間違った使い方 第11話「炸裂!必生の拳!」
- Vtuberなんだが配信切り忘れたら伝説になってた 第八話
ネガポジアングラー 12話「ネガポジアングラー」
- 監督:上村泰
- 脚本:鈴木智尋
- 絵コンテ:柴田匠、藤井俊郎、上村泰、末田宜史
- 演出:山本貴之、梅本駿平
ネガポジアングラーの最終回……の特にAパートについて話をさせて欲しい。
Aパートはそれ単体で見ると丁寧に釣りの流れを描いているにすぎない。しかしこの一連の流れに当初は釣りすら知らなかった主人公の常浩がすっかり釣り人となっており今までの積み重ねが詰まっている。
釣り場所を見つけ→根気強くキャストし→遂にヒットし→徐々に魚を弱らせ→タモ網でランディングする→サイズを測る
この流れだけで明確に言葉を交わさずとも二人の関係性は修復を果たすのである。
筆者は親父に連れまわされた経験である程度釣りに覚えがあるのだが、釣りというのはひたすら時間のかかる”待ち”のレクリエーションだ。だからこそゆっくりとした時間の流れの中でポツポツと会話をし、その中でヒットの瞬間に沸き上がり片方は釣りをやめ声をかけながら共同作業で魚をランディングする。
「ネガポジアングラー」という作品はこういった釣り人の何気ない時間そのものを1クールアニメーションの終着点としてドラマを作り上げており、これこそまさに「釣りアニメ」と言えるのではないだろうか。
アニメを普段から見る人たちのみでなく、釣りを嗜んでいる人たちにもぜひ見て欲しい作品である。
となりの妖怪さん 第11話
(サブタイなし)
- 監督:山内愛弥
- 脚本:金春智子
- 絵コンテ 演出:山本隆太
となりの妖怪さんは時間帯が遅いこともあり中々見られている印象が無かったが、ほのぼのしたビジュアルとは裏腹に凄まじい展開で楽しませてくれた。ここでは特にそれが出ていた11話を選出。
妖怪と人間が共存する世界の中で、平行世界や神隠しなどとてつもないスケールの話を展開しつつ、人との繋がりを丁寧に描いていた本作。
11話ではぶちおとたくみは視点の違いから不和を起こしてしまう。しかしぶちおのすごさは人との繋がりで、町工場の父親と重ねて語られることで仲直りを果たす。
しかし世界そのものが崩壊し化け物が大量に発生するという正に世界を巻き込んだ災害といえるような事態がクライマックスに怒ってしまう。
町工場のおっさんや子供の喧嘩という小さいスケールの話と、世界そのものが崩壊してしまうというとてつもないスケールの話が共存しているというのが本作の魅力だと感じているのだが、まさにそのスケールの違いが出ていたエピソードではないかなと思う。
他の話数も素晴らしいものばかりなので興味があればぜひ見てみて欲しい作品である。
怪異と乙女と神隠し 第12怪「切符と動画と神隠し」
- 監督 脚本 絵コンテ 演出:望月智充
怪異と乙女と神隠しからはアニオリ最終回である12話を選出。
筆者は原作を読んだ上でアニメを楽しんでいたのだが、このアニオリ最終回は原作の更に更に先の最終回を先取りしたような展開で横転してしまった。
原作では主人公自身のドラマをやっている段階なのだが、12話では「じゃあ主人公に守られる側の妹は?」というところまで描き切っている。
日常に回帰する主人公と、日常から別れて別の居場所を作るも時代を超えたメッセージを本に載せて妹と繋がるエンディングは本作の要素を十二分に活かしたアニオリの最終回であったと思う。(カメラに向かって別れを告げるも思わず泣いてしまう演出も見事であった)
とはいえアニメではまだ語られていない設定ありきで描かれているため、周囲では中々伝わっていない印象があった。興味がある方はぜひ原作を読んだ上で再度このエピソードを見てみて欲しい。きっと膝を打つはずだ。
菜なれ花なれ 第7話「ハイカラ×バンカラ!」

菜なれ花なれからは作品の本質を描いた7話を選出。
なれなれは応援(チア)をテーマにした作品であったが、自分自身は正直あまりピンとは来ていなかった。何故なら自分への応援というものを素直に受け取ることが出来ないからだ。(こういった方は多いのではないだろうか)
野球応援という最もスタンダードともいえる応援の形のエピソードで、「菜なれ花なれ」(チアというのは最も目立つ花ではなく、野菜のような応援したい人間を後押しする)と穏花という応援への引け目があるキャラから「頑張れ!」という言葉を引き出すまでのドラマが描かれており、なれなれ全体を通して見てもまさしく象徴といえるようなエピソードであったと思う。
余談だが、見ている当時は半ば唐突に本作の本質を語るキャラが出てきた印象があったのだが、後々トークショーにて本作のタイトルが7話から「菜なれ花なれ」になったが主人公たちのドラマではそこに到達しないため先輩キャラから語らせたんです!と監督自身が語っていてその視聴感にかなり納得がいったところがあった。
変人のサラダボウル 第7話「異世界人の戸籍問題他」
- 監督:佐藤まさふみ
- 脚本:山下憲一
- 絵コンテ 演出:鈴木恭兵

変人のサラダボウルは岐阜の裏社会や新興宗教、異世界までをも日常として包括したとてつもないアニメだが、特にこの7話はその「日常」のなかで親子関係というものを描いた見事な1話として印象に残っているため選出。
お話の流れ自体は探偵業を行っている主人公惣助と異世界から来たサラの1日を切り取ったエピソードである。
しかしその中でも、戸籍のないサラの学校に行きたいというささやかな願いを叶える方法であったり(親子になれば戸籍が出来る)、馬券の買い方を教える自身の姿に父親を重ねる惣助、そして探偵の尾行対象に親子と間違われる描写でクライマックスの「なあサラ、お前…俺の子になるか?」「うん!」へのフリが効いている見事な構成となっている。
この作品は群像劇であるため、7話までに惣助とサラの疑似的な親子が本当の親子になる瞬間までのドラマとしては積み重ねがあるわけではない。
しかしこの作品は、惣助とサラの普段の情景を描く雰囲気だけで彼らが本当の親子に至る説得力を持たせており単純な画面としてのクオリティ以上に凄まじい技巧の上で成り立っているのではないかなと感じている。
中々その魅力を明文化するのは難しいエピソードではあるのだが、素晴らしい作品でした。
最強タンクの迷宮攻略〜体力9999のレアスキル持ちタンク、勇者パーティーを追放される〜 第12話「魔の力」
- 監督 絵コンテ 演出:熨斗谷充孝
- 脚本:雨宮ひとみ
このアニメはいわゆるなろうの異世界追放ものベースの作品の一つではあるのだが、1クールアニメーションとしてモチーフの使い方が見事であったためその集大成と言える最終話を選出。
MMORPGにおける「タンク」という地味な役職にフューチャーした追放ものなのだが、主人公タンクが最強たる所以が中々ロジカルで「自身のみでなくパーティ全員への攻撃を肩代わりすることが出来」なおかつ「今まで受けた攻撃をカウンターすることが出来る」というものである。
劇中の戦闘描写もロジカルに作られており、
主人公タンクが挑発で敵の攻撃を受ける→その間に仲間が攻撃とサポートをする→とどめに主人公タンクのカウンターを入れる
というパターンが主人公PTの戦法となっており、そのパターンが上手く決まったり、敵の予想外の行動によって崩れたりしてドラマが生まれるMMORPGの良さが出ている作品であった。
そして最終回では村が襲われ主人公PTもラスボスが固すぎてピンチ!という場面で、自分のパーティだけでなく村を守る全員のダメージを肩代わりしそれをカウンターすることで勝利するという見事な最終回であった。
この作品は至るところで名前のないモブキャラたちをも愛嬌のある描き方をしてきており、そういった積み重ねがあるからこそクライマックスの全員の想いを背負ってタンクの「みんなを守る」という信条を成し遂げるドラマを描いており大変素晴らしい1クールアニメでした。
HIGHSPEED Étoile #10「最速のその先へ」

ハイスピードエトワールからはAIとレースを見事に結び付けたこの10話を選出。
昨今AIを取り扱ったコンテンツを見ることが多く、やはり時代のトレンドなのかなと感じるが「ハイスピードエトワール」はAIと主人公のバディものレース作品として送り出された。
10話ではトラブルでレース中に主人公が気を失ってしまい、AIがレースを代わることでコースレコードを出すものの主人公は「私いらないじゃん…」と落ち込んでしまいます。その主人公にAIが発破をかけるエピソードです。
この作品においてAIというものはAIであるamiちゃんによって下記のように定義されていました。
「AIは最適解を出すことしか出来ず、レースにおいては人命を守る行動をとらざるを得ない。だからAI同士のレースは煮詰まると順位が変わることがなくつまらない」
そして次のように続きます。
「だからこそ私はもっと速さを追い求めたい。本当は私一人で成し遂げたいがAIである以上、それは不可能です。でもリンとならそれが出来るのです」
最適解はAIが出しており、いかにそれに近いかといったものに注目がいきがちである。しかしレースというものでは駆け引きが面白さとしてあり、それに魅了されたAI自身が主人公と共にそれを目指すというドラマが現代にアップデートされたAI理論で描かれており、令和のSF作品としても白眉なエピソードであった。
SF作品とは綿密な理論をこねくり回すだけのものと思われがちだが、綿密な理論付けをドラマに活かしてきたジャンルなのだから、私はこの作品は立派なSF作品だと思っている。
真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました 2nd 第4話「元勇者と暗殺者の日常」
- 監督:星野真、高藤聡
- 脚本:ざっぽん
- 絵コンテ:星野真
- 演出:山田史人

真の仲間2は既に1期を経たのもあり、作品の本質を捉えた素晴らしいエピソードがたくさんあるのだが私からはこの4話を選出。
この作品において「スローライフ」というのは「生まれながらに宿命として持たされた役割から外れ、自分の意思で生きる」ことを表しているのだが、このエピソードでは主人公の妹である勇者とその親友の暗殺者というサブキャラのみでその本質を描き切っている。
暗殺者という役割に囚われた作品において陰となる存在を殺すという行為に悩んでいたティセを、勇者だからではなく友人として手伝う共犯関係になるのって………
あまりにも同性愛すぎる!!!!!!!!!!!!!!!!!
失礼、自我が出てしまいました。
殺人という主人公たちでは出来ない行為をもって作品の根幹のテーマ性で描いており、真の仲間のエピソード群の中でも特に印象に残ったエピソードでした。
治癒魔法の間違った使い方 第11話「炸裂!必生の拳!」
- 監督 絵コンテ 演出:緒方隆秀
- 脚本:ヤスカワショウゴ
2期も決定した治癒魔法の間違った使い方からはタイトル回収回ともいえる11話を選出。(この回は多くの方が選出しているのではないかなと勝手に推測しています)
この作品ではなろう異世界ものにおける「治癒魔法」を実際の戦争においての運用としてどうなるか?を定義しているところが魅力の作品なのだが、11話はまさにそのドラマの頂点となっていた。
治癒魔法をまとったままの拳でボコボコにすることで、傷をつけずに気絶させるというまさに「治癒魔法の間違った使い方」が偶然全ての攻撃を"反転"する最強の敵に通用するAパート、初の実戦で多くの人命を助け生還を遂げたことで師匠にも認められ思わず涙してしまうBパートとどちらもこの作品を象徴する一幕であった。
Vtuberなんだが配信切り忘れたら伝説になってた 第八話
(サブタイなし)

V伝からはVtuberというコンテンツの面白さの本質を抽出していた8話を選出。
Vtuberとして活動している主人公がその絵師である人(その人もまたVtuberとして活動している)とお泊り配信をするエピソード。
実際のVtuberにもお泊り配信というのはもちろん存在するのだが、当然視聴者は配信画面でしか見れないためどういった事が起きていたかは語り口から想像することしか出来ない。(だからこそ二次創作が流行していた)
しかし本作は本来であれば見ることが出来ない、実際に動いている彼女らの姿を同じラインで描くことが出来るのだ。これは実際Vtuberを見ていたファンからするとまさに夢であり、本作が実現していることに画面以上の価値を見出せるのではないだろうか。


またVtuberものというとアバターと実際の姿のギャップという要素でお話作りをするものが多く見受けられるのだが(もちろんその中で面白い作品も多数ある)本作はあえて現実世界でのビジュアルもアバターで描き、アバターがない人間は全て棒人間で描くというかなり振り切った演出をしている。
しかし衣装を考える配信を行ううち、隣にいる人間の所作にその衣装を着ている様を見る演出はアバターと現実の境界が曖昧になった故の見事な演出であったと思う。
このようにVtuberというのはただ絵が動いてるのではなく、そこからにじみ出るその人間の本質というものが魅力であり第8話においてアニメーションという媒体でありながらその魅力を十分に描き切っていたのではないだろうか。
おわりに
今回初めて2024年のエピソードから10個選ぶという企画に参加したのだが、他にも候補が多数あり泣く泣く選べなかったものもあった…
しかし多くの方が参加することでそういったものも拾われ、また様々な視点から選ばれるので改めて良い企画だな~と感じた。
自分自身2024年に見たアニメの記憶を思い出すのに良い振り返りになったため、来年以降もぜひ参加したいものだ。
2024年の様々なアニメの出会いに感謝しながら、2025年もまた皆さんアニメを見て行きましょう。
おわり